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大阪高等裁判所 昭和24年(を)1214号 判決

被告人

安田善一

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中六十日を右本刑に算入する。

理由

前略

刑事訴訟法第二十條第七号は同号所定の裁判またはその裁判の基礎となつた取調に関與した裁判官が後に同一事件の審判につき除斥される規定であつて、同法第二百二十八條の証人尋問をした裁判官は事件の審判につき除斥されるとの規定はない。また刑事訴訟規則第百八十七條第一項第二項は勾留に関する処分をすべき裁判官を定めた規定であつて、事件の審判に関與する裁判官は原則として、その処分が出來ない。結果から見れば勾留処分をした裁判官は原則として事件の審判に関與できないことになるが、裁判官の除斥を規定したものではないから急速を要する場合、または同一の地にその処分を請求すべき他の裁判所の裁判官がないときは、その処分をすることを妨げない。從つてこれらの規定があるからと言つて第一回公判期日前の証人尋問と事件の審判とが同一裁判官によつて行はれても、何ら手続上の違法はないし、刑事訴訟法の主義、精神に反しない。論旨は理由がない。

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